お客様インタビューINTERVIEW
岡山県真庭郡新庄村様
あかりカンパニー代表取締役 渡辺勝利 × 岡山県新庄村長 小倉博俊様
渡辺:
この度は立派な新庁舎の完成おめでとうございます。また弊社の採光ブラインド アカリナを採用頂きまして、ありがとうございます。新庄村はご縁がありまして、よく道の駅「がいせん桜・新庄宿」に寄って、もちもちうどん定食をいただいています。実は不動滝のたもとで私の師匠が拘りのお米を栽培しておりまして、毎年その美味しいお米を社員や関係者に配る分まで頂いております。水が綺麗で寒暖差がありますので、他のお米は食べられないくらい甘くて旨みの詰まった美味しいお米ですね。
村長:
そうなんですね。ありがとうございます。
色々な社長さんにお会いする事がありますが「我が社」ばかりを中心に考えられる人が多い中で、渡辺社長は広く世間に向かって、社会を公共的な資本として考えておられるのではないかと思いました。いわゆるグローバルな、それも公共的な。従来であると切り捨てられるような部分にしっかり目を向けられて、そのような中から逆転の発想が生まれたのではないかなと思いました。非常に我々と共通する発想力というか構想力というか。人はやっぱりドラマを作るというか、ドラマの中で生きていくものだと思うんですよ。私はそうでないといけないと思って仕事をさせてもらっています。来たエサを食べるんじゃなくて、自分からエサを見つけに行く、また新しいエサを見つけて行く。その姿勢が大事だと思います。
渡辺:
やはり会社なので仕事が続いていくことが重要です。その中で従業員がある程度の給料を貰い、若い世代が夢と希望を持って「頑張ったらこんな風になれるんだ」と夢を持てるようにしたいと思っています。私も夢を追いかけているんですけど、なかなか実現しないものが多いです。でも挑戦する事によって人と出会い一緒に進めていく中で、もしかしたら実現するかもしれないというところに上がっていくんですよ。
村長:
夢を持たないと人生面白くないですよね。私も常に夢を追いかけていますよ。
山田方谷にしても渋沢栄一にしても、公共の利益を図ることが自分の利益に繋がるという考え方だと思うんですよ。自分の田んぼだけに水を引くのではなく、周りの皆さんや社会が豊かになること、公共の福祉があってこそ自分たちに幸せが循環してくると思っています。
渡辺:
自分だけのことであれば何とかなるんですよ。そうではなく、もうちょっと笑顔を増やしたいとか、それが自分のモチベーションに繋がっています。
村長:
自分達だけのことであればネットだけで完結します。それでは人間本来の価値やミッションが達成されないですよね。人生に長い短いはあるにしても、折角生かされているわけですから。自分が貢献できること、力になれることをしたら悔いの残らない人生になるのではないかなと思うのです。
今ちょうどG7サミットが行われていますが、うちのような1,000人以下の村が7つでつくる「小さな村 g7サミット」というのをやってきました。
小さな村には小さな村の課題や悩みがあるんでですよ。その悩みや共通課題をまとめて国や政府に届けてみよう、ということで私がリーダー役で仲間と一緒に総理のところにお伺いして要望活動をしました。そうしたら年度が変わった4月に回答が来て、3つお願いしたうちの1つが動き出しているんですよ。だから要望や悩みがあれば言うべきです。国は動いてくれますし話を聞いてくれるということです。
渡辺:
素晴らしいですね。新庄村は岡山県で一番小さな村だと思うのですが、村について教えてください。他の地域にも同じような規模の村があるんですか?
村長:
新庄村は南北10km東西7kmほどの面で、人口は1,000人弱のとても小さな村です。「村民一家族の村」を掲げ、村制施行150年間、一度も合併をすることなく今日まで歩み続けてきました。合併しないで小さな村で努力し続けたからこそ、現代人が忘れかけている日本のふる里が残っています。「日本で最も美しい村」に認定され、また3つの百選にも選ばれた「300選の里」です。
g7ですが、国が7つのブロックに分けておりまして、北海道・東北・近畿・四国とか、その7つのブロックから1,000人以下で元気な村、頑張って欲しいというエールをいただいた村が7つ集まって頑張っています。中国地方にも色々村がありますけど、我々の村に頑張って欲しいと言われましたので、それを受けてやらせていただいております。社長の考え方と同じで、小さな村である事を逆手にとって、小さいからこそできることがあると思うんです。我々は小さいからといって決して下向きではないんですよ。上を向いてどんどん挑戦していこうと。我々が地方の最先端を担っていると考えて、このような村が今後どうなるのか?=これからの日本がどうなるのか?ということだと思うんですよ。小さな村をどう国が考えていくか?もし切り捨てるなら日本の将来がね…人間の体と同じで、末梢神経って大事なんですよ。中枢神経ばかりじゃなくて。
渡辺:
立派な新庁舎ですが、まず入るとすぐに木のいい香りがしました。次に椅子のデザインがそれぞれ面白いですね。そして村長室がエントランスのすぐ横にある斬新さ。この建物のデザインコンセプト、施設としてのコンセプトなどをお聞かせください。
村長:
屋根はこの辺りの民家に多く使われている赤茶色の石州瓦です。漆喰壁、羽目板など宿場町として栄えた新庄宿をイメージしています。
東側の壁面には特徴的な2つの丸窓があります。これは村民・執行部・議会の3つを意味しています。またこの〇い形を見た子どもたちが、ふと笑顔になってくれれば嬉しいとの思いも込められています。
中央部にある2本のタイルラインは、出雲街道に沿って宿場町が連なる様子を表現しています。
一般的に村長室は建物の奥に作るようですが、皆が来やすい開かれた場所にしたいと思い、あえて入口からすぐの場所に村長室を作ってもらいました。
渡辺:
採光ブラインド アカリナの導入の経緯をお伺いしたいんですが。
村長:
新聞を読んでいる時にふと社長のインタビュー記事が目に留まったんですよ。ここにまだ保存してあるのですが、これは素晴らしい社長だなと思ってすぐ職員に「この製品を使いたいから、あかりカンパニーという会社を調べてくれ」という事からスタートしたんですよ。下請けじゃなくてこれは最先端だと思いました。新庄村もそうなっていこうと。まさに自然を活かすいうことが1番です。
渡辺:
恐れ入ります。エネルギー問題を解決しないと次世代にツケを残す事になりますから。
ブラインド業界は大手メーカーが3社ほどありまして、その下に数社あって、我々は更にその下でほとんど無名なんです。会社の戦略としては先程村長さんがおっしゃった市町村と一緒で、小さいからこそできることをやっています。そういう我々の考え方に同意してくださる企業様、行政機関や公共機関などに広がっていまして、岡山のこんな小さな企業の製品が、こんな大きな現場にというような、アカリナを作り始めた頃は夢にも思わなかったことが起こっています。
村長:
いやいや、皆さんこの記事を見たらおそらく共鳴される方が増えると思いますよ。実際に導入して職員に聞いたら、やはりそれだけのメリットがあると。本当に良いとの声を聞きました。私が言ってなかったら従来通りのカーテンですよ。だから偶然本当に良い記事に出会ったと思っています。
渡辺:
今の世の中にあるブラインドは遮光するためのものです。私たちは逆転の発想で、光を採り入れるための技術を磨き続けています。今では「眩しくないし、明るいから気持ちいい」という評価をいただいております。やはり昼からブラインドを閉じて暗い室内で仕事をするんじゃなくて、自然光の中で仕事をしたほうが気持ち良いですよね。ただ暑い、眩しい、日焼けは困るのでそこは全部抑えられます。そのような特長を非常に喜んでいただいております。
村長:
実は今回お伺いしたいことがございまして、岡山県の水のお話なんですが、新庄村は旭川の源流域なんです。だからとても責任があると思っています。水の赤ちゃんが生まれて、それが成長して瀬戸内海に流れていく。これから川上と川下の関係は非常に大事になってきます。そこで、こういう源流域にある小さな村は下流の皆さんのために何をしたら良いか?を考えていきたいんです。SDGsじゃないですけど。
1つは岡山市の水道局が植林をして森作りをしてくれています。ここは水がめなんです。岡山県のブナ林の3分の2が新庄村の奥に自生してるんです。ブナは保水力が高い広葉樹で、ブナ林に水筒はいらないと言われるほどです。そうすると小さな村という単位じゃなくて、より広く源流域を大切にして守っていくことが自然環境の面でも大事だと思っています。
職場に出られない、家にこもるとかメンタルの病気になる人が非常に増えていますよね。医療行為、例えば薬を飲むのも改善策だと思うのですが、私は自然治癒力が大事だと思っています。ブナ林の自然豊かな環境の中で、標高が高く水も空気も綺麗で、太陽がどんどん降り注ぎ、緑も豊かで星空も綺麗。そういう環境の中で、今されているお仕事の分野において、この新庄村と何か連携できないものか?お知恵を拝借できないものかと思っています。
私はブナ林の麓で森林セラピーをしたいと思っています。リフレッシュして、新庄の美味しい食材を食べたり、いろんな体験をしたりして。住んでいなくても交流や研修を体験することによって、心身ともに健康に再生されて元気になっていただくような。そんなことを国とも相談して進めていきたいです。建物や物を作る必要は無いです。この自然の中で色々な体験をして心身ともに元気になって職場復帰できたり、鬱だった人が良くなるとか、アレルギーがなくなったとか、そういう村にしたいと思います。
渡辺:
私の父親が後月郡芳井町という田舎の出身で、子供の頃は川で鮎を取り、冬は野鳥を取って、そんな生活をしていました。社会に出て新庄村に縁があって、こちらへ頻繁に来るようになって、がいせん桜はもちろん綺麗ですが、それだけではないこの新庄村の良さ、空気感を人に伝えたい、多くの人に知って欲しいと思っています。
SNSなどを上手に使えば多くの人を集めることはできますが、逆に良いところはだんだん薄れて、その辺はバランスを見てやらないといけないと思います。弊社には通販部がありますのでネット環境と電話だけで成立する部署があります。なので横浜にもスタッフがいます。そうすると街中じゃなくても新庄村のコテージで仕事をしても良いわけです。小鳥のさえずり、川のせせらぎ、そういうものを感じながら仕事をするのも、先程おっしゃったセラピーになりますね。
村長:
古民家の改修などは予算がしっかりつきますので、サテライトオフィス、あるいは企業の研修とかそういう交流の場として考えていただければ、村としては喜んでお手伝いしようと思います。こういうところで仕事をすると発想が豊かになると思うんです。人間は健康になりますし。夫婦喧嘩は収まるし(笑)子供は自然の中で遊ばせるとたくましくなります。この自然を新庄村民だけで使うのはもったいないので、森林セラピー基地をもっと充実強化して様々なツアーを組みたいです。
でも観光地化はしたくないんですよ。一般的な観光地ではなく、知る人ぞ知るような。後世のために素晴らしい楽園を作ってみたい。だから今までゴルフ場、オートキャンプ場、美術館などを作りませんかとか、色々なことを言われてきましたけど「それはおかしい、新庄村はその適地ではない」と断ってきました。やはり自然との営みを通じてメンタルヘルスを良くする場所を増やし、共生社会を実現する事だと思うんですよ。
渡辺:
自然は作ろうと思ってもできないですよね。新庄村のお米にしても明らかに美味しいのは、作り手の思いもあると思いますが、やはり水、土壌、そして寒暖差ですよね。その環境を人工的に作ろうって言ってもできないですよね。
村長:
作物は夜間にビタミンやミネラルができます。寒暖差があるからこそ、しっかり作られる。寒暖差が中途半端なところだとできないんです。だから新庄村の「ひめのもち」という餅米は甘味があって美味しいのです。汚染されていない豊かな水で作られるので体にも良いですし。
そこで今後、山村保育というものを考えているんですよ。保育所の定員が30人なんですが、これからの人口減ストップ対策の中で、まず若い世代が生まれてこないといけないですよね。
新庄村に移住定住したいという人が増えて欲しいのですが、何か独自のやり方があるんじゃないかなと。山村保育として例えば夏休み、あるいは秋だけでも新庄村で過ごす。体験して良いと感じていただけたら、今度は小学校に入れたいとか家族で移住定住を検討される方が出てくるのではと思うのです。今は交通の便が良くなって米子や津山には通勤できますから。パソコンだけでできる仕事もありますし。
渡辺:
私自身が新庄村が凄く好きなんですよ。ECサイトの部署はインターネット環境があればどこでも仕事ができますので東京、岡山じゃなくても良いわけです。場所よりどれだけ熱い思いを持った人が集まるかが重要です。例えば新庄村に保養所兼サテライトオフィスがあれば、そこに雇用が生まれます。ある程度のスキルがあれば、普通に稼げる仕事があるという事が重要ですよね。第3セクターだとどうしても経営が他人事になりがちです。だから続かない事が多い。企業経営者は自分の事としてより具体的に動きます。だからやり切るし続けられると思うんです。観光地化するのではなく新庄村らしいやり方で人を集める方法があるんじゃないかなと思います。
村長:
私は7期目になるのですが「村の成長戦路エンジン7」というものを村民に訴えて、1つ1つそれに取り組んでいこうと進めています。その1つに眠っている地域資源を発掘して生かしていこうと。もう1つは介護施設、保育所、小学校、公民館などの機能を備えた総合的な施設をプランニング中です。元気なお年寄りと子供が交われるような。村外の老人ホームに行かなくてもいいような。このような総合福祉計画は全国に無いんですよ。だからモデルを作ろうと思っています。大きな自治体は利害関係でこういった計画ができないと思うんですよ。新庄村は村民一家族です。小さな村だからできる、逆転の発想なんです。
このようなモデルを作ろうと思ったら厚生労働省、文科省、国土交通省とか役所の縄張りがあって難しいですが、今は規制緩和の時代ですから「こんな理想的なモデルをやりたい、村民一家族なんです」ということを伝えたら、私は許可してもらえる気がするんですよ。また計画が進んだら相談に乗ってください。任せていると商業主義ですぐに無駄なお金を使われてしまいます。
渡辺:
微々たるものですが、我々はメーカーで技術屋なので情報は多少持っています。その辺りも含めてお手伝いできる事があればまたお伺いします。我々の作るアカリナは採光や遮熱の機能がありますので、その建物に対して「どうしてココにこれが付いているのか、どういう意味で付いているのか」お客様に説明ができるようにに熟考して提案しています。売ることだけではダメです。
世間でSDGsが叫ばれていますが、だからと言って通常の活動の中で、簡単にエネルギー消費を抑えられるものでは無いと思うんです。弊社のホームページでは「知らないうちに、いつのまにかSDGsになっている」という文言があるのですが、これは無理をすることなく、普通に使うだけで自然に省エネに繋がると良いよね。ということを現しています。アカリナを使うことで昼間の照明が不要になったり、夏場のエアコン設定温度を上げることができたり、それこそが無理のないSDGsだと思うんです。
しかし今回実際にお話を伺って、村長の仕事に対する熱意やアカリナを採用していただいた経緯を知る事ができました。やはりこの距離でお話をすると伝わってきますね。今日は本当にありがとうございました。